「あの人この人に聴きたい“健康と幸せ”の秘訣」座談会NO.1(前編)

2023年4月25日

みなさんの考える健康と幸せは何ですか。一人一人考えは違うかもしれません。もしくは、あまり考えた事がないという方も多いのではないでしょうか。今年度は様々なジャンルで活躍している人との座談会をシリーズで掲載予定です。それを通して、健康について考えるきっかけにしていただき、地域を元気に「地域まるごと健康づくり」の輪を広めていければ幸いです。

 

NO.1 知憩軒 長南光さん

第1弾は知憩軒の長南光さんです。生まれ育った土地で、食や文化、人とのつながりを大切にしながら、農家民宿レストランを運営されています。今月号では、長南さんの考える健康と幸せについてご紹介します。座談会の様子は6月号で掲載予定ですのでお楽しみに!

(インタビュー動画はこちら☚をクリック!)

 

 

幼少期の生活

私は戦後の生まれで、団塊の世代です。農村地域では、長男長女が家に残り、それ以外は集団就職をする時代でした。私は末っ子だったので、それに乗るつもりで幼少期を過ごしていましたが、兄たちが家を出て行き後継ぎが必要だったので、残ることになりました。当時は白いご飯は食べたことがありません。お米はお金に代わるものだったので、残ったくず米等にカボチャや味噌を入れたものを食べて暮らしていました。ご飯粒ひとつでも残すと、めくらなると言われるくらい貴重なものでした。ご飯を食べた後にはお茶碗にお湯を入れて、白菜や大根で米のかけらをきれいにとって飲み干していました。

作った野菜は全て食べきり感謝するというのが、身体に染みついています。食べるものでも、着るものでも、家でも全てに関して貴重な物であり、先祖から残されたものを次の世代に残していかなければいけないという役割がありました。山羊を飼ってお乳を飲み、牛は乳牛としてではなく田んぼを耕したり働いてもらう存在として土間で飼っていました。牛の餌のジャガイモを煮たものをつまんだりすることもありましたが、それ位子どもたちはお腹が空いていました。牛は働いてもらうために生活に必要な存在で、子どもたちより大切にされていたように思います。

16歳からの百姓生活

中学を卒業後1年間は和裁を習いに鶴岡に行かせてもらいました。16歳から百姓をし、未だかつてこの地を離れて働きに行ったことはありません。旅行にも行ったことがありません。23歳からは親の介護が始まり、家と病院のどちらかに行く生活でした。家で出来る事なら内職や民芸品づくり、デザイン等なんでも行ってきました。これまでその日のうちに寝たことはありません。日中は百姓の事、夜は内職、冬の間は出稼ぎに3年だけ行きました。これまで他の人と比べることはせず、自分ができる事を手当たり次第やってきた事で、今があり、それが基礎になっているのかなと感じています。どれだけ働いていても自分の意思で行っているので、苦に思った事は一度もありませんでした。

旅に出れないので、民宿をして来てもらおうと単純な考えで始め25年目になりました。色々な人と出会え、色々な人の生き方に触れる事が出来ました。

いつまでも青春の気持ちを失わないこと

昔農家は一所懸命働いて市場に出しても博打の様なもので、入ってくるお金がその日で大きく変わり、箱代にもならないこともありました。それに嫌気がさして、自分たちが作ったものを、自分たちで値段を付けて販売出来たら良いなと、トラックに積んで一軒一軒回って小売りを行いました。その中では様々な対応をされたこともありましたが、そこから学ぶ事も多くありました。生きていく過程で死ぬまで勉強だと思っています。今は民宿したり、レストランしたりお客さんから育てられています。私達にとって当たり前の味でも、他所から来た人達はそれを「全然違う。美味しい」と言ってくれ、そこからここを守らなければと思う気持ちを教えてもらいました。人との出会いは自分の人生の宝物になります。良い人といかに出会うか、そして自分も良い人になり高まっていこうとする意識が大切だと思います。そこから同じ人達が自然と集まり、暮らしそのものが楽しくなり、成長してけると思います。人との出会いは、刺激がありワクワクし、いつまでも青春だと感じます。それを失わない暮らしをしていきたいという思いです。

文化は心を豊かに

生きるという事は健康でなければならない、健康で生きるためには食と心を豊かにすることだと思います。文化は心を豊かにしてくれます。自分の好きなものを仕事以外に一つ見つけ、それを育てていく事が大事だと思います。家庭でも職場でもストレスが溜まることは当たり前です。でもそれを消化出来るものがあると、幸せを感じられるようになると思います。それと先祖を大切にして感謝することを日常に入れる事も、幸せに繋がる一つの方法だと思います。

何かを始める時は、一日1時間でも自分の好きな事と向き合ってみてください。1年続ければ365時間、50年生きれば、向き合った人と向き合わない人との人生の差は広がります。それを生活のリズムに入れ込めば、無駄な事をしなくなりました。特別なことをしなくても、日々幸せに暮らせるのかなと思います。

そして、お金は天下の周り物です。一瞬の物との出会いは大切にし、心をときめかせた物、好きな物と暮らした方が良いと思います。安い物だから無理して買った物は、タンスの肥やしで終わる事が多いです。好きな物であれば、切れたとしても着たいし、食器であればそれにどんな物を入れようか考えるし、そういう物を身近に置く事で、嫌な事があっても耐えられます。これが文化の力です。幸せに健康に生きえるためには、心と身体のバランスの維持が必要な事だと思います。

 

笑って死ねるように

当たり前の暮らしから幸せを感じられる生き方をしていけば、同じ生き方をしている人と繋がり、そこから次のステップに繋がると思います。その人生の繰り返しをしていけば、死ぬとき笑って死ねるかなと思います。

(座談会の様子は6月号に掲載)

 

 

 

 

 

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